フリーメイソンとは?
フリーメイソンの起源と歴史
フリーメイソン(Freemasonry)は、中世ヨーロッパの石工(メイスン)組合にルーツを持つと言われています。元々は職人たちが互いに技術を伝承し、組織を守るための団体でした。しかし、時代が進むにつれて、実際の石工ではない知識人や貴族なども参加するようになり、次第に秘密結社的な要素を持つようになりました。
1717年、イギリス・ロンドンで「グランド・ロッジ(Grand Lodge)」が設立され、近代フリーメイソンの始まりとされています。この組織は、信仰・道徳・人道的価値観を重視し、会員同士の友情や支援を目的とする団体として発展していきました。
フリーメイソンの目的と理念

フリーメイソンは「自由」「平等」「友愛」「博愛」「寛容」などの価値観を掲げています。彼らは、個人の精神的成長と道徳的向上を重視し、社会貢献活動にも積極的に取り組んでいます。実際に、慈善事業や教育支援、医療機関の運営などに関与しているロッジ(支部)も多く存在します。
また、フリーメイソンは宗教や政治から独立した組織であることを強調しています。会員には特定の宗教を信仰する義務はありませんが、「至高存在(グレート・アーキテクト・オブ・ザ・ユニバース)」の存在を信じることが求められます。これは、神の概念を持つすべての宗教に対応できるようにするためのものです。
現在の活動
現代のフリーメイソンは、世界中に数百万人の会員を抱える国際的な団体です。特にアメリカ、イギリス、フランスなどで活発に活動しており、日本にも複数のロッジが存在します。
具体的な活動としては、以下のようなものがあります。
- 慈善活動:病院や奨学金制度の支援、災害救援活動など
- 教育支援:フリーメイソン関連の学校や図書館の運営
- 社会奉仕:地域社会でのボランティア活動
一方で、フリーメイソンは秘密結社的な側面も持っており、会員以外にはその詳細な活動が明かされることはほとんどありません。この「秘密主義」が、後述するさまざまな都市伝説や陰謀論を生む要因の一つとなっています。
フリーメイソンの象徴とシンボル
フリーメイソンは多くのシンボル(象徴)を持ち、それらには深い意味が込められています。これらのシンボルは、組織の理念や教えを表すものであり、会員にとって重要な役割を果たします。ここでは、代表的なフリーメイソンのシンボルについて詳しく解説します。
コンパスと定規の意味
フリーメイソンのシンボルの中で最も有名なのが、「コンパスと定規(Square and Compasses)」です。これは、フリーメイソンの基本的な哲学を表す重要な象徴です。
- コンパス(コンパスで円を描く道具)
- 精神的な向上や自己の内面を探求することを示す。
- 欲望や行動を適切にコントロールすることの象徴でもある。
- 定規(直角定規)
- 道徳や正しい行いの象徴。
- まっすぐな道を歩み、公正な判断をすることを意味する。

この2つを組み合わせることで、「精神と道徳の調和」や「自己鍛錬」を表しているとされています。中央には「G」の文字が入っていることが多く、これは「God(神)」や「Geometry(幾何学)」を指すと言われています。
目のシンボル(プロビデンスの目)
「プロビデンスの目(The Eye of Providence)」は、ピラミッドの上に描かれた目のシンボルで、アメリカの1ドル紙幣にも描かれています。このシンボルは、フリーメイソンの象徴の一つとされ、以下のような意味を持つと考えられています。
- 全能の神の目:神がすべてを見ていることを表す。
- 真理の探求:人間の行動を見守る「知恵の目」を示す。
- 啓蒙思想:啓蒙主義の理念を反映し、理性と知識の光を象徴する。
このシンボルは、フリーメイソンが持つ「知識の追求」と「倫理的な生き方」の重要性を表していると考えられています。しかし、この「すべてを見通す目」が「世界を監視している」と解釈され、陰謀論の題材として扱われることも少なくありません。
33階級制度とは?
フリーメイソンには、会員の階級(ディグリー)制度があり、特に有名なのが「スコティッシュ・ライト(Scottish Rite)」と呼ばれる体系です。このシステムでは、会員は最大で33階級(33度)まで昇進することができます。
- 第1度~第3度:基本的な階級(見習い、職人、親方)
- 第4度~第32度:高度な哲学的・道徳的な教えを学ぶ段階
- 第33度(最高位):長年の功績を認められた会員に授けられる名誉的な階級
すべての会員が33階級に到達するわけではなく、多くの会員は3階級目(マスター・メイスン)までで活動を続けます。そのため、33階級は特別な立場の会員にのみ与えられる名誉とされています。
フリーメイソンの階級制度は「秘密の儀式」などと結びつけられ、都市伝説や陰謀論の材料となることもありますが、実際には組織内での教育や自己成長のための制度にすぎないと言われています。
フリーメイソンにまつわる都市伝説
フリーメイソンは、長い歴史と秘密主義的な性質から、数多くの都市伝説や陰謀論の対象となってきました。特に「世界を裏で操る秘密結社」というイメージが強く、多くのフィクションやメディアで語られています。ここでは、代表的な都市伝説を紹介し、それが事実かどうかを検証していきます。
世界を支配する秘密結社?
フリーメイソンについて語られる最も有名な都市伝説の一つが、「彼らが世界の政治・経済を裏で操っている」というものです。この説では、フリーメイソンの上層部が各国の政府や大企業と密接に関係し、世界を影からコントロールしているとされます。
【この説の根拠とされるもの】
- 歴史上の影響力の強いメンバー
- フリーメイソンには、アメリカの建国者やフランス革命の指導者など、歴史上の重要人物が多く所属していました。
- 例えば、アメリカの初代大統領ジョージ・ワシントンや、フランスの軍人・政治家ナポレオン・ボナパルトもフリーメイソンの会員だったとされています。
- アメリカ1ドル紙幣のシンボル
- 1ドル紙幣には、フリーメイソンのシンボルとされる「プロビデンスの目(すべてを見通す目)」や、ピラミッドのデザインが含まれています。
- これが「フリーメイソンがアメリカを支配している証拠だ」とする陰謀論が広まる要因となりました。
【実際のところは?】
- 確かに歴史的に影響力のあるフリーメイソン会員は多いですが、組織としての「世界支配」の証拠はありません。
- 1ドル紙幣のデザインも、フリーメイソンによるものではなく、アメリカの建国理念に基づいたものであることが公式に説明されています。
- フリーメイソンは各国ごとに独立して運営されており、一つの組織として世界を支配することは現実的に困難です。
有名なフリーメイソンのメンバー
都市伝説をさらに加熱させる要因の一つが、フリーメイソンの会員だったとされる有名人の存在です。実際に、以下のような著名人がフリーメイソンだったことが知られています。
【歴史上の有名なメンバー】
- ジョージ・ワシントン(アメリカ初代大統領)
- ベンジャミン・フランクリン(アメリカ独立宣言の起草者)
- ナポレオン・ボナパルト(フランス皇帝・諸説あり)
- ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(作曲家)
【近代の有名なメンバー】
- ウィンストン・チャーチル(イギリスの元首相)
- ウォルト・ディズニー(ディズニー創業者・諸説あり)
- ジョン・ウェイン(ハリウッド俳優)

これらの人物の影響力の大きさから、「フリーメイソンは世界のリーダーを生み出す組織なのでは?」という噂が広がりました。しかし、フリーメイソンは特定の政治的・経済的な目的を持った組織ではなく、あくまで個人の成長や道徳的向上を目的とした団体です。
日本にも存在するのか?
「フリーメイソンは日本にも存在するのか?」という疑問を持つ人も多いでしょう。実は、日本にもフリーメイソンのロッジ(支部)が存在しており、現在も活動を続けています。
【日本のフリーメイソンの歴史】
- 日本にフリーメイソンが初めて登場したのは、江戸時代の長崎だと言われています。
- 本格的に活動が広まったのは、明治時代以降で、海外からの影響を受けた日本人や在日外国人によってロッジが設立されました。
- 現在、日本には「東京メソニックロッジ」など複数のロッジがあり、公式な活動を行っています。
【フリーメイソンと日本の著名人】
- かつて「フリーメイソンの会員だったのでは?」と噂される日本の著名人もいます。
- 例えば、坂本龍馬や西郷隆盛が関係していたという説もありますが、これについては確証がなく、あくまで都市伝説の一つとされています。
陰謀論とフリーメイソンの関係
フリーメイソンは、長い歴史と秘密主義的な性質から、さまざまな陰謀論の対象となってきました。特に「世界を裏で操る秘密結社」といった説は根強く、メディアやインターネット上で広く語られています。本章では、フリーメイソンに関する主な陰謀論と、それがどのように生まれたのかを解説していきます。
イルミナティとの違い
フリーメイソンと並んで陰謀論で頻繁に登場するのが「イルミナティ(Illuminati)」です。これらの団体はしばしば混同されますが、実際には異なる組織です。
【イルミナティとは?】
- 1776年にドイツで設立された秘密結社。
- 啓蒙思想を広め、宗教や王政に対抗することを目的としていた。
- 1785年に当時の政府によって弾圧され、公式には解散。
フリーメイソンとは異なり、イルミナティは政治的な目的を持っていました。そのため、陰謀論では「イルミナティがフリーメイソンを乗っ取り、世界を支配しようとしている」といった説が語られることもあります。しかし、現代においてイルミナティが実在する証拠はなく、多くの専門家は「都市伝説にすぎない」と考えています。
フリーメイソンが関与したとされる歴史的事件
フリーメイソンが歴史的な出来事に関与していたとされる説はいくつも存在します。以下に代表的なものを紹介します。
① フランス革命(1789年)
【陰謀論】
フリーメイソンがフランス王政を打倒するために革命を裏で操ったとされる。実際、多くの革命指導者がフリーメイソンの会員だったとされる。
【事実】
フリーメイソン会員が革命に関与した可能性はあるが、組織として革命を主導した証拠はない。フランス革命は複雑な社会的・経済的要因によって引き起こされたものと考えられている。
② アメリカ建国(1776年)
【陰謀論】
アメリカの建国者の多くがフリーメイソンであり、アメリカはフリーメイソンの理念に基づいて作られた国であるとされる。
【事実】
確かに、ジョージ・ワシントンをはじめ、多くの建国者がフリーメイソンの会員だった。しかし、建国の理念は啓蒙思想の影響を受けたものであり、フリーメイソンの指示で動いていたわけではない。
③ ケネディ暗殺(1963年)

【陰謀論】
アメリカのジョン・F・ケネディ大統領は、フリーメイソンの秘密を暴露しようとしたため暗殺されたとする説。
【事実】
ケネディがフリーメイソンの秘密を知っていたという証拠はなく、暗殺の背景には政治的要因や個人的な恨みなど、さまざまな説がある。公式には、単独犯(リー・ハーヴェイ・オズワルド)による犯行とされている。
デマと事実の見分け方
陰謀論が広がる背景には、情報の誤解や過剰な憶測があります。フリーメイソンに関する情報の中には、明らかに誤ったものも多いため、事実とデマを見極めることが重要です。
【陰謀論に騙されないためのポイント】
- 公式な情報を確認する
- フリーメイソンは各国で公式なウェブサイトを運営しており、活動内容を公開している。
- 信頼できる資料や書籍を参考にする。
- 根拠のない話に注意する
- 「○○が関与していたと言われている」という曖昧な表現には注意。
- 具体的な証拠や資料があるかを確認する。
- 感情的な情報に流されない
- 陰謀論は「恐怖」や「驚き」を煽ることで広まりやすい。
- 冷静に情報を分析し、事実とフィクションを区別する。
フリーメイソンは確かに長い歴史を持ち、多くの著名人が関与してきた団体ですが、陰謀論で語られるような「世界を操る秘密組織」ではありません。
フリーメイソンの実態とは?
フリーメイソンは長年にわたり「秘密結社」として語られてきましたが、実際には多くの情報が公開されており、一般人でも加入することが可能です。本章では、フリーメイソンの加入条件や実際の活動、日本における現状について詳しく解説します。
加入条件と入会の流れ
フリーメイソンは誰でも自由に参加できる団体ではなく、一定の条件を満たした人のみが入会できます。
【加入条件】
基本的な加入条件は、以下のようなものです。
- 成人男性であること(女性向けのロッジも存在する)
- 「至高存在(神)」の存在を信じていること
- 道徳的に誠実であること
- 既存のフリーメイソン会員の推薦を受けること
- 経済的に自立していること(慈善団体ではないため)
フリーメイソンでは、特定の宗教や政治思想に従う必要はありませんが、無神論者は入会できません。「至高存在」は特定の神ではなく、キリスト教・イスラム教・仏教・ヒンドゥー教など、どの宗教の神でも構わないとされています。
【入会の流れ】
- 既存の会員と接触する
- 公式ウェブサイトや関連イベントを通じてフリーメイソンの会員と知り合う。
- 申請と面接
- 志望者は正式に入会申請を行い、会員との面接を受ける。
- 投票と承認
- 既存会員による投票が行われ、承認されると正式に入会が認められる。
- 入会式(イニシエーション)
- 儀式を通じて正式にフリーメイソンのメンバーとなる。
このように、フリーメイソンの入会には一定の手続きが必要であり、誰でも簡単に入れるわけではありません。
現代のフリーメイソンの活動

フリーメイソンは、単なる「秘密結社」ではなく、慈善活動や社会貢献を行う団体としての側面を持っています。
【主な活動】
- 慈善事業
- 病院や奨学金制度の運営。
- 災害時の支援活動。
- 教育支援
- 奨学金制度の提供。
- フリーメイソン関連の学校や図書館の運営。
- 社会奉仕活動
- 地域社会でのボランティア活動。
- 文化・歴史の保存活動。
また、会員同士の交流も重要な活動の一つであり、定期的な集会(ロッジミーティング)が行われています。ここでは、哲学や道徳に関する議論が行われ、自己成長を目指す場となっています。
日本におけるフリーメイソンの現状
日本にもフリーメイソンのロッジ(支部)が存在しており、現在も活動を続けています。
【日本のフリーメイソンの特徴】
- 会員の多くは在日外国人
- 日本のフリーメイソンは、元々在日外国人向けに設立された経緯があり、現在も外国人会員が多い。
- 日本人の入会者も増加
- 近年では、日本人会員も増えており、英語を話せる日本人が入会するケースが多い。
- 東京メソニックロッジが有名
- 東京には「東京メソニックロッジ」があり、フリーメイソンの中心的な拠点となっている。
- 神戸や横浜などにもロッジが存在。
日本のフリーメイソンは、欧米に比べると知名度が低いものの、一定の会員数を維持しながら活動を続けています。
フリーメイソンは本当に秘密結社なのか?
フリーメイソンは「秘密結社」として語られることが多いですが、実際にはその活動の多くが公開されています。公式なウェブサイトや資料もあり、都市伝説とは異なる実態があることが分かります。
【フリーメイソンが「秘密結社」と言われる理由】
- 会員以外には明かされない儀式がある
- 会員同士の秘密のサインや握手の方法が存在する
- 歴史的に秘密を守る伝統があった
しかし、現代のフリーメイソンは「秘密の団体」ではなく、「会員制の組織」というのが正しい表現です。むしろ、慈善活動を行う団体としての側面が強く、映画や小説で描かれるような陰謀を企てる組織ではありません。
まとめ

フリーメイソンは長い歴史を持ち、多くの著名人が関与してきたため、さまざまな都市伝説や陰謀論の対象となってきました。しかし、実際には「世界を裏で操る秘密結社」というよりも、哲学や道徳の探求を目的とした「友愛団体」に近い存在です。
【本記事のポイント】
✅ フリーメイソンは中世の石工組合から発展した団体
✅ コンパスと定規、プロビデンスの目などのシンボルがある
✅ 「世界を支配する」という都市伝説があるが、証拠はない
✅ 陰謀論ではイルミナティと混同されがちだが、別の組織である
✅ 実際には慈善活動や教育支援を行う団体である
✅ 日本にもロッジが存在し、現在も活動を続けている
フリーメイソンは、確かに「謎めいた」側面を持っていますが、過剰な陰謀論に惑わされず、実際の活動を知ることでより正しく理解できるでしょう。
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